SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

黒沢明の時代

という小林信彦の文庫を読んでいる。タイトルが示す通り、黒沢明の映画とその時代を小林信彦が調べた資料と自身しか知りえないエピソードを網羅した読み物となっている。氏の書く小説は今一つなんだろう?何かがアタシには物足りないのだが、こと当時のコメディアンや映画を軸に時代を映し出していく読み物にはいつも感心させられる。相変わらず見てない映画を見た気にさせる簡潔な描写には頭が下がるし、今の人にはわかりにくいシーンをその意味が分かるように時代背景をうまく絡ませる技術、自身の学生時代からの映画ノートもたびたび引用されて並々ならぬ映画愛も垣間見れる。しかし、今回面白いなと思ったのは、アタシが面白いと思ったところが少なからず小林さんのそれと合致していないところだった(笑)。多くの人が感心するところは置いといて、細かいところに入っていくとこれはやはり個人の好みの問題になってくるので当たり前といえば当たり前なのだが。私の場合、野良犬の踊り子、淡路恵子やその楽屋、あの肌ににじむ汗にはいたく色気を感じ、黒沢明自身も明らかにその辺を出したいと思ってると思うんだけれど、そういったところには一切触れていない。七人の侍羅生門でのキスシーンなんかもある意味そうだと思う。ま、根がスケベなアタシなんでそんなところばかりに目がいってしまうことはあるかもしれない(笑)。ユーモアに関しても三船敏郎のユーモア、志村喬のユーモアということは書いてるんだけれど、黒沢明のコメディ好きの資質みたいなものには触れていない気がした。明らかにコメディ好きな監督でしょ。って藤原釜足渡辺篤をしょっちゅう使ってるんだからそれは言わずもがななのかもしれないけど(笑)。これから読む「どですかでん」以降の黒沢明が今二つ三つ四つとわからないので小林信彦がその辺をどうとらえているのかが楽しみなのだが。
そういえば「東京バンドワゴン」見てみました。うーん、亀梨、田部はいいんだけど、やっぱ玉置がなぁ。ってあんまし好きじゃないんでしょうがないんですが。話もちょっと地味で、クドカンみたいなどっかはっちゃけたところとアホヤナァというとこがないとなあ(笑)。このまんまだとちょっと辛い気がすんなぁ。って偉そうに(笑)。
そんじゃ、また。