SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

読みたいなぁ


と思っていたんですよ、この青木淳悟さんの「四十日と四十夜のメルヘン」。
単行本で出た時に、保坂和志さんが「日本のトマス・ピンチョンだ!」なんつぅことを言って大絶賛してたりしたもんだから、気になってしょうがなかったんですが、トマス・ピンチョンがどんなもん書いてて、どのように凄いのかがわかんなかったし、お金もあんまりないもんで、そのままになってたんです。
でも、保坂さんの書いてるもんは、書いてるもん同様に、茫洋としていて良いんで、保坂さんが良いっつぅのなら、きっと面白い話なんだろうと思ってたわけです。
そうしたらば、先日も本屋をのぞいた時に、なんと文庫になっておりまして、400百円なら大丈夫、とさっそく購入しまして、こうして読みたいなぁ、と思っていた「四十日と四十夜のメルヘン」が読めたというわけなんです。
で、どうだったのかと申しますと、面白くなかったんですね、やっぱり(笑)
単純に言ってしまうと、私が期待する面白い話の範疇には属さない話なんですね、これは。
血湧き肉踊るなんてものでもまるでないし、ほのぼのと温かい(っていうのは、保坂さんの書くものには、いくらかあるような気がします)っていうのでもないし、もちろんびっくりするような大事件が起こって、大騒ぎのドタバタでもないし、不思議な妙な話でもない。
ありふれた日常(でもないのかな?でもこんな人に、こんな世の中って普通にあるよな気がするんですが)が、坦々と綴られるという、なんとも身も蓋もないような話しで(って喩えがうまくない(笑)。
ある意味、筒井さんの「ダンシング・バニティ」のような、ある話が、何度も何度もループして少しずつ変化していくというような感じと似ているのかもしれません。青木さんの方は、エンターテイメント化させずに、いろいろな視線でものごとを坦々と書き綴っていくというような感じなんですが、これもうまく言いえてないような気がします。
ま、アタシの頭がもう、定型化されてしまってるもんで面白いと感じられなくなってしまうんでしょうが。
それと、先日やっぱり本屋で立ち読みした織田作の短編集がなんだかとてもいい感じで。
バイオリンを習っている少女と一所懸命それを応援してるおとっちゃんの話なんですが、ちょびっと立ち読みしただけなんですがなんか良かったな。これもそのうち、あ、まだあった、久々にスチーブン・キングの短編集も出てました。久々にキングも読みたいなぁ、なんて思っているのです。
CDは、ブルース・コバーンの「ハイウィンド・ホワイトスカイ」を中古屋で見っけて購入。気持ちがじんわりと暖まってくるうたとギターに、なぜだか目頭を熱くしております。
やっぱいいなぁ、これ。