SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

雲の上団五郎一座とトンボを切りたかったコメディアン

なんだか長 いタイトルで恐縮です(笑)。
ほとんどの方がほんとに雲の上に行ってしまわれてるこの映画、雲の上の存在の素晴らしい喜劇バカたち総出演の映画は、ほんとに貴重な文化遺産だろうと思うわけです、いやまじめに(笑)。
中でも思わず吹き出す三木のり平八波むと志の掛け合いの素晴らしさ、ぽっちゃりフランキー堺の溌剌さには目を見張るものがありました。
おいちゃん森川信との勧進帳森川信の堂々とした芝居もさることながら、フランキーのめちゃくちゃ歌舞伎のセリフが面白くて吹き出し、帰りのしこを踏む、じゃなかった(笑)えーっと、六方、そう六方を踏む後半部がツーチャチャ・ツーチャチャで始まるジャズアレンジになるところなんざ、アータ、うーむとうなり、そしてニヤリとさせられますこと請け合いでござりまするがな。でその痛風になっちゃう花菱アチャコがやっぱり面白くて、こりゃほんまにむちゃくちゃでござりまする(大笑い海岸(久々に出た、ポン)。
でもちょっと、うん?と思ったのが、八波むと志三木のり平との絡みが多く、由利徹南利明の二人は佐山俊二といつも一緒というところなんです。知ってる方はすぐピンときたと思うんですが、脱線トリオは、由利徹南利明そして八波むと志の3人のはずで、先日読んでいた小林さんのエッセイも確かそう出てたんだけど、なぜだかこの映画の中ではそんな塩梅。三木と八波と由利の絡む玄治店の(これもなかなか可笑しいんですが)場面はあれど、脱線トリオ3人がしっかり絡むとこは結局ありませんでした。あんまり由利と八波が仲良くなかったり、実際の脱線トリオは、基本はこの3人で、佐山俊二が誰かの代わりにやってたこともあるようなんで、そんなこんなでそうなったのかなあ、なんてどうでもいいようなもんですが、思ったりしました(笑)。
で、もう一つの「トンボを切りたかったコメディアン」の話。これ、滝大作の喜劇役者や舞台芸人の短編小説集のタイトルなんですが、その中のエノケン(雲の上〜の座長役のエノケンは、壊疽で右足を切断して義足でこの映画に出ていたらしい)の話が読みたくなって引っ張り出して読んだんです。なかなか粒のそろったあの頃の役者や芸人の人情味あふれる話が載ってるんですが、どこにもエノケンの話は出てきません。
エノケンが義足でトンボを切ったイメージがどういうわけかずーっとこのタイトルにはあって、それとこのタイトルを思い出すと、堺正章エノケンに扮したドラマで確か布団の上で義足で一所懸命稽古してた姿がおぼろに浮かんでくるもんで、自分で勝手にそう思い込んじゃってたんですね。どうも人間にはそういう思い込みがどこかにあるようで、なんとなく恐い気がしました(笑)。なわけでいつものことながら唐突に、そんじゃ、また。