SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

ビル・カニンガム&シュガーマン

久しぶりに名画座へと出かける。飯田橋だっつぅこともあって四谷で降りて、昔通った会社までの道のりを歩いてみる。
防衛省までの道の広くなったことよ。よく社長とキャッチボールをした外堀のグランド、テニスコート横のウッディな便所(ここは以前書いたこともある四ツ谷駅のトイレが掃除中でダッシュして駆け込んだトイレ…)も健在、なんとも懐かしい。会社の入ってたビルはきれいな高層マンションになって、見る影もなかったけど。
でもって、防衛省を見ながら大通りを市谷方面へと歩く。
市谷の釣り堀、通りを渡ったよく通った居酒屋、元市谷食堂の嘉多蔵(まぐろのぶつをうんまい地酒と一緒にたらふく食いたい!)もしっかりとある。相変わらず真っ黒なsonyビルの前を過ぎるとなんと、大日本印刷がここまで飛び出してきてた。そういえばこの辺のおでんの屋台でいいちこをよく飲んだっけなぁ。ありゃ、法政大学のビルも増えてる!でもって、その後移転した会社の真っ白いビルはいまだ変わらずあったんだけど、駐車場はコインパーキングへと変貌していた。なんだかあっという間のタイムトリップで不思議な感じがしたけど、たまにこういうのも面白い。
でもって本題の映画の話。実をいうと二本ともあまり期待していなかったんだけど、それが逆によかったんだろうか、なかなかに面白かった。主人公がふたりともほんとにかっこいい。ってシュガーマンことロドリゲスもビル・カニンガムも名声や富には目もくれない、というかまるで無頓着なところがカッコ良すぎだ!ビルもロドリゲスも好きなことさえ自由にやっていけさえすれば後は何もいらないのだ。シュガーマンに関しては、あんまりここで書いてしまうとこれから見る人に差し障りがあるから書かないけれど、ビル・カニンガムというこの写真家には何とも感動を覚えた。というか嫉妬に近いものか、ってここまでいくには凡人、煩悩のかたまりの俺にはには到底無理な話だけど(笑)。それにしてもあれだけ写真にのめりこめるっていうのはいったいなんなんだろうか。ま、煩悩にのめりこんでそれで気持ちよけりゃそれでいいわけだけど、50年は続かないだろうと思う。現在、80近い彼が嬉々として写真を撮り続けてる、そんなにのめりこめるものがあるってことがほんとうらやましい。あと着てる物がなかなかにいいんだ。オレ好み。なんていうことのないブルーが基調のセーターだったり、襟が着古されて白茶けたシャツだったり、あの作業用のやっぱりブルーのカバーオールも流石ファッションフォトグラファーだけあって様になってるんだよなぁ。被写体に何気なく近づいてさりげなくシャッターを押す。あの仕草、構えも非常に決まってる。当然警戒心を持たれないあの笑顔も。一つ気になったのは、宗教観を聞かれたときに、下を向いて少しの間(結構長く感じた)考えてたところ。何かありそうな気がする、なんか辛かったことが、、、。ま、そんなことはどうでもいい。あんなふうに生きられたらいいなぁとただ思う。