SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

小津週間

と書いてはみたものの、以前BSでやって録画しておいた「一人息子」と「晩春」の2作品を見ただけだし、小津安二郎監督といえば、コアなファンがたくさんいらっしゃる監督なんでなんなんですが、、、。
そういえば、その前に溝口週間というものありまして、やっぱりBSでやったのを録画して、やっと見たなんて週もありました。
それにしても、あの「赤線地帯」の木暮実千代のスカーフを被ってマスクにサングラスには参ったなあ。いいなあ、良かったなあ。
海野十三の小説に同じようなスタイルの挿絵があったのを思い出してました。岩田専太郎の絵なんですが、妙なエロティシズムが漂ってました。(下参照 海野十三「細菌容器」絵・岩田専太郎

それとあの幽霊が出てくるときのビョヨヨヨ〜ンというBGMが頭に残っちゃって。
あれは、横山ホット・ブラザースが得意とするノコギリ弾きだと思うんですが(笑)。不思議なBGMですよね、あれは。黛敏郎なんですよ、音楽。出演者がみんな実態のない幽霊みたいな存在だからなんでしょうかね?って、まるで内容のことにはふれてない、ふれられない(笑)
ぴっちぴち、ほっぺたぷんぷくの京マチ子も良かったなあ!great!「雨月物語」の妖しさも堪らなかったけれども。あれは、田中絹代の泥臭い演技があればこそなんだろうなあ、なんてことを感じたりもしたりして。
で、小津監督作品の話なんですが、「一人息子」、飯田蝶子のおっかさんに成人して嫁さんも貰って、子供も出来た息子が怒られるシーンには、くぅ〜、泣かされました、身につまされました(アタシもここんところお袋にオヤジに女房に子供に怒られっぱなし。こんなもん書いてると余計に(笑)そして、よぉーし、って思いました。でも、、、今はもう元通り、元の木阿弥(笑)
「晩春」の原節子!あのにこやかな笑顔の持続!ハツラツとした笑顔の持続!にいかれてると、その後のあのうらめしそうな流し目に、もうひれ伏すしかなくなりましょう?京マチ子の妖艶さに勝るとも劣らない色香であります。
って、そんなことばっかり書いてんなあ。他になんかあるかなあ、ないもんなあ(笑)。
あ、面白いセリフがありました。月丘夢路(が、笠智衆のおでこにキスをするのにもびっくらこきましたが、いいなあ)と原節子の会話でお見合いの話があるんですよ。
お見合い相手はどうだったって、月丘がしつこく聞くわけです。そうすると原節子が、どうでもいいように「そういえば、紹介してくれたおばさんは、ゲーリー・クーパーに似てるって言ってたけど」なんて答えて、その後に「アタシは、家に電気の修理に来てくれる電気屋さんに似てると思う」なんてこともいうわけです。それを聞いて月丘夢路が「その電気屋さんは、ゲーリー・クーパーに似てるの?」って聞き返すと、原節子が「ええ、似てるの」なんていっちゃって。「なんだ、じゃあ、ゲーリー・クーパーに似てるんじゃないの」ってあきれ顔で月丘夢路がつぶやくっていう会話なんですが、とって付けたような会話っちゃあ、会話ですが、面白かったなあ(笑)
月丘夢路って、かわいかったんですね。おばさんの少しどすのきいた声の夢路さんしか知らなかったもんなあ。
それと、久しぶりにあの据付の長回しのカメラ目線を見ましたが、いやー、落ち着かない、あの長い間が落ち着かない(笑)
あの長い間にいろんな意味が込められてんでしょうが、また、こんなアタシにもその雰囲気がいくらかは伝わってきましたが、ばたばたと日々追いまくられてばかり、何かに、何ものかに追い立てられてばかりいる身には少々きついものがありましたね。
ね、もう追いかけてこないで、ゆっくりさせて(笑)
そういえば、吉行淳之介の短編に「追いかけるUNKO」っていうのがあって、タイトルどうりの話なんだけどって、そんな話は、いいかあ。なんの話ししてましたっけ?そんなわけで、おしまい。

古本「山風蠱」http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9491/newpage3.htm

ずーっと、ぼちぼちやってます。よろしくです。