昨夜久方ぶりに外で飲んだ。
いささか飲みすぎたようだ。頭の奥のほうにじぃぃぃーんという鈍い痛みを感じる。
二日酔いだろうな。この頃必ず二日酔いになる。そんなに量を飲んでいないときでも。
そして、顎に感じるやはり鈍痛、ん、顎が痛い？
あわてて飛び起き、洗面所に走る。洗面所の鏡でのぞいてみる。
結構大きなすり傷。ちょうどチンのあたり、ここをいい感じに打たれるとそのまま膝から崩れ落ちることになる。少し赤く腫れてもいる。どうしたんだっけ、ここ？鈍痛ノウ？
昨晩のことを頭の中で反芻してみる。 、、、、、、うーん、そうかぁ。そういえば、、、
いつものようにいつもの道を歩いて帰る帰り道。天上には満天の星が、降るような星星が、なんていうことがあるはずもなく、って言うほど悲観することも実はない。オリオンはしっかり見えるし、ふたご座？にシリウス、あといくらかの星も見える。ここら辺はけっこう見えるほうだと思う。
で必ず口をついて出てしまう
♪夜空を〜 あおいでぇ〜 ながめる 星もぉ〜
♪たーぁった 一人の 日暮れに〜 見上げるそぉーらの 星屑ぅ〜
の定番鼻歌ソング。なぜかいつも加山雄三メドレーとなってしまう。
そしてやっぱりいつものようにうたにあわせて軽くステップを踏む。
「夜空の星」の最後
♪ひかぁってるぅ〜
で軽くジャンプ、、、？なんだかいつもより軽いわが身。ふんわりと軽い飛び心地。
、、、飛べ、、、そう？、、、飛べる、かも？飛んでみたい！？っていう気持ちがふぅーっと湧いてくる、と同時に今と同じように、今度はもう少し足に力を入れて
♪ひかぁってるぅ〜
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
身体の軽みは感じるんだけど、フォー とあっというまに地に足がついてしまう。
♪ひかぁってるぅ〜
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
♪ひかぁってるぅ〜
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
♪ひかぁってるぅ〜
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
と何度となく繰りかえしてみる。それが不思議と楽しくなってくる。うたってる声も大きくなって少しぜえぜえしてきたもんで、ちょっと立ち止まって夜空をまた見上げる。
♪夜空を〜 あおいでぇ〜 ながめる 星もぉ〜
♪たーぁった 一人の 日暮れに〜 見上げるそぉーらの 星屑ぅ〜
またまた無意識のうちに出てくる鼻歌。
♪ひかぁってるぅ〜
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
ツツツツツーーーーー
ありゃ？身体が浮いた感じ？あのワイヤーでツーっと２メーターぐらいぶらさげられて運ばれた感じ？
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
ツツツツツーーーーーツツツツーーーー
地面からどれくらい？ジャンプ！で飛び上がった地点から少し落ちる感じがするんだけど、地面に着地する抵抗感はまるでなくて、そのまま、さっきより飛んだ気分でよろけながら着地。
おーっし！いけるぞ！久しぶりに味わうあの高揚感。
昔、水泳大会で、いけるぞ！と思ったとき、身体がスイー、スイーっと自然に前に出て行く感じがしたもんだった。で、ぐい、ぐい、ぐいと面白いように身体が水の上を滑っていった。そんな高揚感が身体いっぱいに漲っていく気がした。
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
ツツツツツーーーーーツツツツーーーーツツツーー
お、やっぱ、やっぱ飛んでるよ、オレ。
もういっちょだ！
今度は、足に全神経を集中して、おりゃーっ
ツゥー スリー ジャ〜ンプ！
高く飛んだ瞬間、重心が崩れあっというまに、あっけなく墜落。顔から地面に突っ込んでしまった。
人間とは面白いもんで、顔面強打を避けるために顔を上げるようだ。ぐっと顔をあげると当然チンのあたりが地面に強打されることとなるし、実際にそうなってしまった。
いっつつつつつ
チンを打って崩れ落ちるんじゃなくて、もう、うつぶせにぶっ倒れていた。
頭もくらっとしてそのまま昇天してしまうんじゃないだろうかなんてことが頭をかすめた。でも、痛みの方が勝って、すぐさま現実に引き戻された。良かった。
いっつつつつつ、、、、、、
仰向けに向き直るとでっかい夜空が、、、。
やったよ、やった！飛んじまったよ！くくくくく、、、、
と自然に笑いがこみ上げてきた。それからは良く覚えてない。
そう、そうだよ、そうだったんだよ、オレ飛んだんだよ。空、じゃないけど、空中。
擦りむいた顎をさすりながら思った。
でも良かったよ、あのまんま空まで飛んじゃわなくて。帰ってこれなくなったら困っちゃうもんなぁ。
おしまい
古本「山風蠱」http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9491/newpage3.htm
ぼちぼちやってます。よろしく！
