SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

「大殺陣 雄呂血」

凄まじいぞ!「大殺陣 雄呂血」!
家老の息子が起こした事件の身代わりになって出奔する水無月藩士・小布施拓馬(市川雷蔵)。しかし、裏切りにあい逆に、自身の藩と事件起こした藩の両方から追われる身となる。
というようなよくある話なのであるがそのクライマックス、タイトルにもある「大殺陣」がほんとに圧巻であった。よくある話のある意味陳腐さがぶっ飛ぶくらい凄いんだ。
まずは、女郎やの中で悪い親分をやらせたら天下一品の吉田義夫(悪魔君の初代メフィスト)をぶった切り、小ずるいチンピラ藤岡琢也をずんばらりんとぶった斬る。もちろんその間に三下やくざたちもバッタバッタとたたっ斬っていく。
ずん、と表に踏み出せば、裏切り者の両藩士代官所の役人と百人を超す人間、そして捕獲用のはしご、大八車、雨戸が周囲を囲む。
「こ、これはぁ、、、」と見ているこちらが息を呑む。
しかし、雷蔵少しもひるまず切れるようなクールな横顔。
「御用!御用!」と十手、何棒っていうのか?を振り下ろしながら襲い掛かるこっぱ役人たち。
かわす、斬る、かわす、斬る、斬る、かわす。
がっとはしごが襲い掛かる。
身をかわす、飛び上がる、屈む、ながら、足を払う、斬る、押し返す、斬る、斬る、斬る、斬る、、、。
ばんっと雨戸で行く手をさえぎられるも押し返し、かわし、飛び上がり、雨戸の上に仰向けに乗せられてあがきながらも斬る、斬る、斬る。
一台、二台、三台と大八車が突っ込んでくる。
身を屈める、ガツンとぶつかり持ち上がる大八車。
横殴りに斬る、斬る。
次々と襲う大八をかわす、かわす、斬る、斬る、斬る、斬る。
がきっ、刀が折れる。
折れた刀で刺す、斬る。
空いてる手で脇差を引き抜き逆手に持ち斬る、斬る、斬る。
折れた刀の柄を握り締めていた指をひとつずつ開いて、その刀を捨てる(何十人も斬ってる刀をいかに握り締めていたかを暗示させるところ、いい!)。
この辺になるともうこちらは息がつけなくなってくる。くぅー、くぅー、くぅー、ってなもんで、雷蔵は、汗だく、着物はだらり、まげもくずれざんばらり。妖しい、が、その妖気が官能的だ。
がくっとくずおれ、くずおれなが斬る、斬る、斬る。
仰向けにぶったおれるも、間髪いれずぐわっと半身を起こし斬る、斬る、斬る、上半身を回転させながら、ブーンと斬る。
残るは、裏切り者の自藩士と対藩士
一番の裏切り者、中谷一郎の名を叫びながら(雷蔵の声もいいんだなあ。野太く、はっきり、しっかりしてる)斬る斬る斬る。
命を助けてくれた藤村志保を手篭めにしたやつらも斬る斬る斬る。
藩士の頭、内藤武敏は、雷蔵の濡れ衣を最後の最後に悟るが、武士の辛さ、戦いを挑む。が、他の藩士同様斬られてしまう。
気がつけば、雷蔵独り。
このあと八千草薫との無言のシーンで終わるんだけど、この大殺陣には心底参りました。
いやー、凄かった!息もつかせぬこの剣戟!感激!!
ほんとうの本気が、またまた画面から圧迫されそうに押し寄せてきました。
これ、映画館の大スクリーンで見たら失神すんじゃないかなあ(笑)
それにしても、あのバッタバッタと斬られるやつらの身。ワリーのは、やつらじゃないもんね、実際。上の命令でやらされてんだもんね。なんともやるせないなあ。なんか、現実世界をかえりみてしまうものもこの映画、持ってるんだなあ、何てことも感じた次第。必見であることには、違いないのだ!
見る 見れば 絶対見ろ!なんちゃってぇ〜 どんだけぇ〜 飛んでけぇ〜(笑)

古本「山風蠱」http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9491/newpage3.htm

ずーっと、ぼちぼちやってます。よろしくです。