SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

久生十蘭「従軍日記」

suzukimondo2007-12-08

好きな作家の一人、久生十蘭の「従軍日記」を読んでいる。
この文章の魔術師の作品が、現在気軽に読めないのがなんとももったいない。
来年だったか、全集が出るような話を聞いたが全集だとチト高価で重過ぎる。
通勤、通学の電車の中、待ち合わせの喫茶店の中、ハチ公の前などで気軽読め、あの感動に打ち震えるぞくぞく感を味わっていただきたいのである。
現代教養文庫に収められていた「昆虫図」「骨仏」「水草」の短編は、そのほんの少しの時間で、まるで違う世界へと誘ってくれるのであるからして。気がついたときには、「オ、オレはどこにいるんだろう」なんてことになって甚だ短時間で有意義な時を過ごすことができるのである。
そのあとはもう、中篇の「海豹島」「ハムレット」「予言」「地底獣国」、長編の「魔都」なりに読み進んでいけばいいのだ。って短編を読んだ時点でもうそういう身体になってしまっているから自ずと読んでしまっている自身をただ発見するだけだと思われるが、、、。
で、「従軍日記」の話。
まだ二章の途中であるが、そんな十蘭のなんの粉飾もない日記に接して実はかなりのショックを受けている。参ったな、というところと、そうだよな、の部分のせめぎあい、うまく折り合いがとれないでいる。「昔の大人の普通の日記」と題した橋本治の序文が言い得て妙な気がしてしまっている。
とこれまた甚だ中途半端でわけのわからないもの言いで申し訳ないのだが、わたしなんぞが何をどう書いてもたいしてわからないのだからこんな感じになってしまうのはあたりまえなのだ。あとは、直接小説にあたっていただいて、その後にこの日記を読んでいただきたいと思っている。
ちなみに山風蠱にも教養文庫の「昆虫図」と「無月物語」の2冊を扱ってるので興味のある方はどうぞよろしく。(テイのいい宣伝だったりして(笑)

古本「山風蠱」http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9491/newpage3.htm

ずーっと、ぼちぼちやってます。よろしくです。