SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

テディ片岡じゃなくて、片岡義男を


久々に読んでみたんですが、いいっすね! 丹念に書き込まれた情景描写と申しますか、自然描写と申しますか、人物描写と申しますか、その辺すべてなんですが。そしてその空気感と申しますか、宇宙感と申しますか、がなんともいえずいい感じ。
自然に対して畏怖の念を持っていることは確かなんですね。だから、いいことばかりじゃない、悪いこともあるよ、享受を受けてるんだから、どえらいしっぺ返しにもあうよ、なんてことが、さらりとあたりまえに書かれていて、至極清清しいんですね。
でも、羊の金玉を歯で引き千切る羊飼いにはなれないだろうし、大陸の東と西からバイクを駆って友人に会いに行くなんてこともしないだろうし、タンデムシートに別れる予定のおねぇちゃんを乗せて雨嵐の落雷舞い散る中を走りもしないだろうし、日蝕を見にわざわざ出かけないだろうし、アッシの絶対しないようなことばかりが描かれていて、それにかっこいいにいちゃんやねぇちゃん、おじんにおばんばかりなもんで、現実味が薄いんですね。若いときにゃ、もしかしてオレにも、なんてことを思わせるようなところがあったとしても、今はもうないっすからね。なもんで、面白いんだけど、なんか「けっ、面白くねぇなぁ」なんていう部分もあったりするわけなんですが(笑)。ありゃ、自分と違うもんが描かれてるから小説ってぇのは、面白いわけで、、、小説本来の楽しみ方を忘れちゃったんか、オレ(笑)
で、やっぱり思ったんですが、この文体は、ペーパーバックのハードボイルドあたりの影響なんでしょうが、村上春樹さんあたりにも通じるもんがありますね。もう少し読んでみっかな。