SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

未踏の時代


地元にも何軒かの小さな本屋があった頃。そんな本屋さんの奥の方、ちょっとした暗がりにひっそりと置かれていたのがSFマガジンでした。その横にはSMセレクトにSMスナイパー(そんな幼き頃の記憶がぼくにはあります)、SM似のマニアックなアブノーマルな世界だったSF(笑)。そのSFを日本に根付かせようと孤軍奮闘、八面六臂の活躍(内容を読むと、活躍という華々しさは微塵も無いのですが)をしたのが福島正実、その人であった。って、SFのことは、それほど詳しいわけではないんですがね、ぽりぽり(きゅうり食ってます(笑)その福島さんの回想録であります、この「未踏の時代」は。
いや、久しぶりに熱き情熱を傾けた男の物語を読んだ気がします。って、実をいうとこの回想録の巻頭言、前書きで書かれている通り、SF草分け時代の思い出は、福島さんにとって
“誤認と挫折と失敗との時期でこそあれ、なんらの栄光の時ではなかった”
ということが痛いほど良くわかる内容で、いわゆるこの手の誕生秘話とは多少色合いが違い、ちょっと後味の悪い読後感となってしまうんですが、、、ま、それは置いといて、SF創世記、黎明期から成長期にかけて、SFに取り憑かれてしまった男の戦闘記をじっくりと味わっていただきたいと思いご紹介いたします。SFは一日にして成らずであります。
しかし、タイムマシンでもありゃ、現在の状況、SFもミステリーもなんでもありのこの状況(そういえば、その昔、アタマに書いた、SFとSMが混同されていた状況をもじって、「SFスナイパー」ってぇのを作った時のキャッチを「何をしてもいいのよ、とSFは言った」にしたことを思い出しました。結構気に入ってるんですが(笑)を福島さんは、どのように感じられるのか聴いて見たい気がしますね。