SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

光を、もっとほのかな光を


電燈の明かりが煌々の世界だったんですね、アタシらの世界は。ほのかな灯りが綾なす陰翳の世界なんか忘れてました。
日本の伝統である漆器に砂壁、建築様式にお能の化粧、、、なども陰翳の中でこそ生えるもんだったわけです。なるほど。
それもこれもあれもどれも、肌の色、白の中に陰翳ができる日本人特有の肌の色が関係しているという、卓見ですなぁ。陰翳に感ずるものがあるということは、もう生まれ持っているということなんすね。
まずはヤタラに多い電燈をひとつでも消してみましょうという呼びかけも、現在への警鐘にもなるような気がしますね。
併録の「厠のいろいろ」で紹介される吉野川の川原にあったといううどん屋の便所。
便器の下をのぞくと遥か下方に菜の花が揺れ、蝶も飛び、川も流れ、散歩する人も見れるという便所。気持ちいいより、落ち着いて出来ないし、谷崎さんも書いてるように、そばを通る人も頭のあたりが気になって仕方ないと思いますね。たまにしぶきがかかったりして(笑)。洒落た便所というよりありがた迷惑な便所ですな。