SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

風にさらわれて檸檬

そういえば、「火の玉ボーイコンサート」で久しぶりに南佳孝さんの「風にさらわれて」を聴いたんだった。そんなことを突然思い出した。好きな曲で、当時シングルも買った。
風にさらわれて 街を飛びこえ 羽根をもらって 羽ばたく
例のはっぴいえんどのラストコンサートでもうたっていたからとても思い入れの深い曲なんだろう。風にさらわれるようなストリングスの響きがその詩とあいまって、キモチをざわつかせる、名曲だと思う。
初めて佳孝さんの「摩天楼のヒロイン」を聴いたときはびっくりしたもんだった。ハリウッドの銀幕の世界と大正ロマンが渾然一体となって、松本隆の詩がこれまた意味深なものが多くて、こんな音世界を聴いたのは初めてだった。ファンキーなところもあったりしてなんとも洒落ていてカッコよかった。でもなぜだか次の「忘れられた夏」(こちらもがっらっと雰囲気が変わったトロピカルなアダルトテイストで名盤です)で聴くのをやめてしまった。金がない学生時代、他にもっと聴いてみたいものができたんだろうと思う。なもんで久々にこっそりと(サイが苦手なもんで(笑)聴きたい気分だ。
仕事場近くに丸善ができる。さっそく檸檬をにぎりしめて出かけてみる。
いいなぁ、この本の数。それも図書館のようにずらーっと背の高い書棚が並んでて、いつもいく本屋さんのように他の人を気にする必要がない。嬉しい!
ゆっくりとのぞいていくと、あの夢声さんの「くらがり二十年」、「あかるみ十五年」「小説・漫談集」なんていう、夢声シリーズがきちんと揃えてあった。講談社の文芸文庫もたっぷりあるし、聞いたこともないような文庫もあった。じゃ、橘外男の「私は前科者である」はどうかな?と探してみるもこれは無かった。流石の丸善も無いものはないわけだ(笑)。
って、そんなことをしてる場合じゃない。美術書棚にむかい目に付くものを引っ張りだし、うずたかく積み上げてみる。そしてその頂上ににぎりしめて生暖かくなってしまった檸檬をそぉーっとのせてみる。
うーん、そのクリームイエローのフォースが危なっかしい形をうまく均衡がとれるように収めている。なんてことができたら面白かったのになぁ(笑)。