SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

映画はいいなぁ

というわけで「カルメン故郷に帰る」も堪能(笑)
ニッポン初のカラー作品とのことで、浅間山、大草原、そこを駆け抜ける馬の群れなど、西部劇のワンシーンを見ているようで、へぇ〜っとびっくり。
特に打ちひしがれた感じで笠智衆を始めとする、野郎4人が並んで帰るあの後ろ姿は、荒野のガンマンに他ならなりませんでした。
それに加えて、高峰秀子扮するストリッパーがカルメンで、その踊りがバリや中近東風で(それを固唾をのんで見ている村人たちがおかしい(笑)何とも無国籍な感じが、例の渡り鳥シリーズを想起させておもしろいんです(笑)。
そういえば、佐野周二佐田啓二コンビをどっかで見たな、と思ったら、同じ木下恵介監督の「お嬢さんに乾杯」でした。
あのときのこのコンビは、妙に垢抜け、カッコよかったなぁ。あの映画もどことなく無国籍風で面白かった。
原節子の上目づかいにぎろっていう感じで見る視線にぞくぞくっとしましたね。
でもって、カルメンの方の高峰秀子の若さ、自由奔放さ、溌剌さは、ニッポンのおばあちゃんに出てた十朱幸代の弾けるような溌剌さにも通ずるものがあって、歳食ってきた私にはほんとになんだか、胸にズシーンとくるものが、ほんとになんだかいいなぁと羨む気持ちがありますね(笑)。
そんな躍動感を画面いっぱいに放つ、彼女たちは、先日書いた爺婆の芝居のうまさに勝るとも劣らない素晴らしさがあると思います。
それにしても終始「アタシは芸術のために」といっていたストリッパーカルメン、芸術ってぇのは一体何なんでしょうね?(笑)