SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

12月の旅人よ

12月の旅人となった父は、もうブルーズを歌う必要も無くなりホッとしてることだろう。腰、膝の痛みを抱えた母は、好きな演歌を歌いながら今日も朝から杖を突きながら家の周りを歩いている。何の変りもないようだが、私は背中の荷物を一つおろせたようで不謹慎なようだが父同様ホッとしている。って父の本当の気持ちはわからない、、、。
死ぬ間際まで父は、何かから逃げるようにある間隔を持ってベッドサイドの鉄の柵にしがみついていた、まるで何かに連れ去られるのを拒むように。そして、これもある間隔を持って頭の上を払うようなしぐさを繰り返していた、まるで何かが頭の上で「早くこい、早くこい」と言ってるのを追い払うかのように。やはり死を拒んでいたのかもしれない。