SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

「親しい友人たち」と「おかしの家」

創元推理文庫から山川方夫の「親しい友人たち」が出ていた。この作品集は、もうずいぶん昔に古本屋で探し回った作品集で、小林信彦さんが編集長をしていたヒッチコックマガジンに連載されていた奇妙な味の小説とでも言ったらいいのだろうか、SFありミステリーありサスペンスありファンタジーありといったショートショートを一冊にまとめたもの。今回のそれは、エラリークィーンズミステリーマガジンでやはり連載されていた「トコという男」(これも昔古本屋で一生懸命探した)からも一部、あと何とかの一年ってタイトルを忘れてしまったけれど、同様のショートストーリーを集めたものからの一部も入っているんじゃないだろうか?手元にあればすぐにわかるんだけど押入れの段ボールの中なので不明瞭で申し訳ない。
なわけで、今回久しぶりに読み返しているんだけど、なかなか面白い。寝る前にちょうどいい長さで、ちょっとした話を読んだ後のちょっとした充実感が味わえなんだかとても得した気分(笑)。
三田文学の編集に携わり、芥川賞の候補にも何度か選ばれただけあってやはり只者ではない。今ちらっと読んでる芥川賞の「火花」の稚拙さが余計に感じられる。それにしてもこの「火花」がなぜ賞に選ばれたのか不思議でならない。駆け出しの小説家が、好きな小説家のかっこいいなぁなんて思ったところをこねくり回して、わけのわからないものにしてしまってるし、いまだ自分自身の文章も見つかってない、そんな印象を受けんだけど。それが新しい何かなのか?選考委員がどう思って決めたのかを知りたい気もするし、どうでもいいような気もする(笑)。綿谷りさなんかが出てきたときには、逆にあの若さであまりの文章のうまさにびっくりこいて、ちょっと気持ち悪かったけど(笑)。
で、TVでオダギリ・ジョー主演の「おかしの家」を楽しみに見ている。山川の小説がなんともいい感じのひねりとその落ちを感じさせてくれるのに比べると、珍しくストレートで、オダギリ・ジョーのせいか、それがあまり臭くならないし、たいしたひねりや落ちもないのが新鮮で、気持ちが不思議にホッとする。今回は、このドラマはだけは続けて見ていられそうである。あとは掟上今日子かな(笑)。おしまい。