小林信彦さんの新刊文庫を読む。一時期、政治話の多さに閉口して読まなくなってしまってたけれど、また買いだしてる自分がいる(笑)。
うん?と思ったのが、今の安部政権と当時の野田政権がやろうとしたことが酷似してるということ。そうだったっけ?うーん、自分の政治を読み取る力の無さにあきれてしまう。参ったねどうも、、、。
で、この文庫、サブタイトルにもなってる「映画の話が多くなって」の通り、どちらかというとそちらの話が読みたい当方としてはありがたい内容。なにしろ小林さんと言えば、常々過去の数多い作品と関連づけてその作品を語れる数少ない批評家のおひとりと思っているので、相変わらずのするどい映画評に、やるなぁ、と感心しきりなんでありますが、その反面、個人的な感想となるとなぜかしっくりとしない、おのずと違ってくる部分もあるわけで、「桐島部活〜」の感想もいくつか「?」なところがありまして、、、。まだ見てない人のためにも詳しくは語れないのが辛いとこだけど、前田たちが撮ろうとしてる映画はあれでいいと思うし、あれでないと終盤の描写が生きてこないわけだし、、、。
そういえば、その昔、小林さんは、映画なり小説の批評で内容をあまり詳しく説明しちゃうってのはいかがなものかと、警鐘を鳴らしてたりしてだはずなんだけど、この「桐島部活〜」の内容に関しては、そこまで書いちゃっていいの?思うようなところもあったりして(笑)。この辺も個人の感じ方の問題になったりするんで、結構線引きが難しいところだとは思うんだけど、、、。
実は、この文庫の前に小林さんの新刊「つなわたり」って小説も読んでしまったりして、小林信彦づいてる今日この頃なんですが、うーん、今二つ、ピンとこないんですな、小説は。
以前から谷崎潤一郎に私淑してたようなところがあって、自身の性との葛藤を物語の骨子とした内容にしたんではないかと思うんだけど、谷崎ほどの読み物としての面白さ、いわゆる変態性、異常性には及びもつかないし(って当たり前なんですが、あそこまでいったら今の小林信彦はいないでしょうし(笑)、ってことは物語として弱いっていうことにもなるんだけど、うーん何を表現したかったのかがよくわからない。中途半端な感じだけが残っちゃって、いったい何処へ向かってるのか、、。さすがにこだわりをもっている当時の空気感、街の描写はうまく取り入れられてるとは思うんですが。
どうも昔から小林さんの純文学だけは今一つ私にはしっくりこないんですよね。なわけで今回は、小林さん終始しておしまいっす。そんじゃ、また。