SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

青の時代 なんてな

オヤジに言わせると、ウチの家系は音楽の素養がある家系らしい。
両親とも歌好きで、オヤジなんぞは飲むとだいたい「ベッサメ・ムーチョ」「帰れソレントへ」♪富士の高嶺に降る雪もぉ の「お座敷小唄」なんかを口ずさんで、、、なんてもんじゃなく、うるさいと思うくらい大声で歌っていた。今の風貌からはどう考えても想像できないけど(国家公務員然とした四角張ったどちらかというとキツネ顔&オールバック。て、「ほんとお父さんにそっくりですね」とぼくは言われ続けてきた)ギターなんかも爪弾いていたらしい。福島の方で音楽の教師をやっていた兄妹もいたっていう話だ。
そんな家系的なものかどうかは知らないけど、小学生の頃、ゲルマニュウムラジオで湯川れいこさんDJの「全米トップ40」を聴いたり(スティービー・ワンダーの♪ユー アーザ サンシャイ マイ ライフ? やダイアナ・ロス&失念(で失礼、なんちゃって) の♪タッチ ミー イン ザ モーーーーニン なんかが、たまに頭の中で鳴り出したりする)、

トム・ジョーンズとエンゲルベルト・フンパーディンクが交代で出てくる「JUNサウンズ・イン」(♪愛か仕事か 愛か仕事か 愛か仕事か 愛か ラブミー ツナイ、てこれは慶一さんバージョン。 ♪ラブミー ウィズ オール オブ ヨー ハート の「太陽は燃えている」もお二方の姿態とともにいまだによく頭の中に浮かんでくる)や、もちろんテレビの歌謡曲番組♪ヒッパレー ヒッパレー(これは記憶に薄い)や「どうもぉ〜、芳村真理で〜す」の夜のヒットスタジオ、その頃やってた歌謡曲番組はほとんどを食い入るように見ていた記憶がある。

伊東ゆかりさんの♪あなたが噛んだ 小指が痛い ♪肩をぬらす 恋のしずぅく や小川知子さんの♪そよ風みたいに忍ぶ あのひとはもぉお〜 中村晃子さんの♪幸せが 住むという 水色のみずうんみ〜 なんかを未だにカラオケでうたってしまうのもこの頃の記憶が強いからにちがいない。うたいながらいつも切なくていい曲だなあと、感じてしまうんだ。
そういえば、初めてLPを買ってもらったのは、トム・ジョーンズのベストだった気がする。
それと忘れちゃいけないのが、我が家の隣にあったBarだった。
よく喧嘩があって、女の子の嬌声も絶えない場末というイメージがぴったりのBarだった。
そこからも城卓也の♪骨まで〜 骨まで〜 骨まで愛してほしいいのぉよ、バーブ佐竹♪あなただけはと信じつつぅ〜 恋におぼれてしまったの やマヒナスターズ、ロスプリモス、東京ロマンチカのロマンス歌謡、それに混じって ♪サニー フニャヘニャ ホーニャ ヘニャホニャ〜(わからないもんで) やシカゴのラッパ隊も気持ちいい「長い夜」、ジェファーソンの♪ドンチュー ニッサン バリツラアー(って聴こえたんだ)なんかが毎晩鳴り響いていた。
あ、もひとつ、やっぱり隣の兄ちゃんがかけるビートルズ、♪イェー イェー イェー イェー イェー イェイェイェ のスライ&ファミリーストーン、オーラッ コーラッ トライア テンダネス(って聴こえた)のオーティス・レディングっていうのもあった。

そういえば、小学校の頃、友だちが学校でよくうたっていた♪おらは死んじまっただぁ〜 おらは死んじまっただぁ〜 をいっしょになって、あの声を真似しながらよくうたってた。こう喉の奥のほうに力をいれ、口をいーっていう感じにうたうとあの早送りの声になるんだ。トッポ・ジージョの真似をするときと同じ原理なのだ。

あと、♪オー ミスター マンデー ミヨマアー ♪シズガレッ ヨッ ベェイビ シーズガレッ アイミョ ビーナス アイミョ バヤッス ジョーデイザヤ や ♪降りしきる雨の歩道 頬つたう 銀のしずく かぁさも さぁさず あぁるいてた〜 あ〜あの人のぉ〜 後姿がぁ〜 湯原昌幸の「雨のバラード」が今もよく頭の中で聴こえる。
なぜだか、思い出したんだけど小林麻美ちゃんが、ぼくは好きだった。
高校の頃、道玄坂で一度すれ違ったことがあった。「うぉ、小林麻美だ」と思いながらも振り返ることができず素通りしてしまった。半径50センチほどのオーラに包まれていたんだよ、ほんとに。後を追っかけ、握手でもしてもらえばよかったと思うぐらい実は後悔したんだ、その時。
「時間ですよ」の天地真理ちゃんも見る度にこんなカワイイ娘がいてもいいんだろうかと思った。
その後、同じような気持ちになったのは原田美枝子ちゃんを見たときぐらいしか思い出せない。もう、ズーッと一緒にいたいなあと思った、原田美枝子ちゃん。今も好きだぁ。
で、音楽の話に戻ると、それらの音が渾然一体となって一部子守唄となって、Barの音楽や隣の兄ちゃんのかけるレコードの音は、布団に入った夢見心地のぼくの頭の中にじんわりと沁みこんで来た(今なら「うるせぇ〜」と怒鳴ってるところだろうが)。
それからぼくは、小・中学校といっしょだったKとAと「CSN&Y」や「はっぴい・えんど」から影響を受けたバンド(といってもアコギ2本のうたといった編成の)をやり始めることになる。
Kはアニキがいたせいで、ぼく等の中ではROCKに一番精通していた。

KがもってきたCSN&Yの「デ・ジャヴュ」や「4Way street」のメロディのやさしさ、コーラス・ワークの素晴らしさに「ええなあ」とぼくは一発でやられてしまったんだけど、もうひとつのはっぴい・えんどにはどうしても違和感を覚えたんだ。どう聴いても大瀧さんのうたはなんか気持ち悪かった。キャロルの日本語を英語風に発音するのとも違う、喉の奥のほうで舌を丸めるようにうたわれるそのうた声は、ちょっともつれたダレた感じが強くて、はっきりくっきり発音する歌謡曲で鍛えた耳にはどうも妙な感じだった。でもなんだかまた聴きたくなる、後を引く気持ち悪さだった。
                              つづく 予定            予定は未定