SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

「近松物語」を見たりして、これが。

HDDの残量が少なくなりはやいとこ見て消さねばということで、やっと溝口健二の「近松物語」を見た。いや、凄かった。良かった。長谷川一夫の凄さ、様子の良さだけでない凄み、香川京子のあどけなさと色香の拮抗縛りにやられてしまいました。なにしろ体当たりの本気(決して‘マジ’なんて読まないでください)の生身の躍動感が素晴らしい。
あの逃避行の中、足をくじいたお家様を置いて、自身だけに罪をきせ逃げ出す茂平衛。追いすがるお家様。山道を足を引きずり、転げそうになりながら、いや、転げながら追いかけていくお家様の香川京子の姿。それを振り切るように逃げる茂平衛の長谷川一夫。身を隠し、お家様が行き過ぎるのを見守る茂平衛の切なさ辛さ、あの手ぬぐいをぎゅっと噛む茂平衛の表情、仕草(少し女形が出てしまうも、余計に仕えているといういじらしさが強調される)が、愛するものとの別れを死に物狂いで食い止めようとするお家様の形相、その必死さがこちらへ、もうなんと表現してよいやらというように伝わってきて、そうだろ、やっぱりそうするだろ、と思ったとおりに、目の前で足をくじいて転げ、もんどりうつお家様を見捨てることが出来ず、抱きかかえ、足首に何度となく口づけをし、激しく、ぶつかるごとく抱き合い転げまわる二人。うーーーーん、凄い、凄まじい、見ているこちらにまでその究極の情愛が伝わってぞくぞくしてくる。思わず身を乗り出し、凝視してしまった。で、これが最後までずずずーっと持続されるんだから、こう、くくくくぅ〜っと情愛の絶頂感のままに!見てるほうも力みいって見終わった頃には、くたっとなってしまった。あと、あのいい具合に入ってくる浄瑠璃?の拍子木の音。場をビシッ!ビシッ!と締めてくれてこれがとても気持ちがいい。
その昔、オーティス・ラッシュのライブでクゥイ〜クク クゥイーククク クゥイクゥイクゥ〜の絶頂感がこれでもか、これでもか、これでもか、これれもか、これももか、これででもかぁ〜!とやってきたあの感じをオレは、味わわっていたのであった。で、オレもオレ自身もこれでもか、これでもか、これももか、これでももんがかぁ〜という自身をたたきつけたいような、身も心も昇天しつくしたいような何かにとらわれたい気持ちになってしまったのだった。
なわけで、「近松物語」は、オーティス・ラッシュのブルーズ・ギターであり、オレのハートに火をつけてでもあるわけなのだった。いいもん見たなあ。だから、映画はやめられまへん!これでごはん三杯はいける。どんだけぇ〜(笑)
近松の 正体見たり かれーらいす3杯

古本「山風蠱」http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Piano/9491/newpage3.htm

ずーっと、ぼちぼちやってます。よろしくです。