SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

昼休み

毎度のことながら、自転車には乗ってませんが ♪本屋で立ち読みを〜(笑)
「東京人」の特集で久しぶりに大瀧詠一さんのお名前を見かける(後のページには松本さんの対談もあった)。
川本三郎さんと共に成瀬監督の映画の街並みを、登場人物と同様に歩くという試み、「映画カラオケ」(ちょっと苦しいネーミング(笑)なるものをやっておりまして、これがなかなか面白そう。文中にも書かれてあったように、旧い地図にあたったり、地元のお年寄りに話を聞いたり、丹念に調べ上げ、成瀬監督の原点なるものを探り当てるという街の探偵、そして人物の探偵である。
 大瀧さんこの頃何をやっておるのだろう? なんて思っていたら、趣味趣味音楽じゃなくて、趣味趣味映画のツウになっていたのであった! そう、音楽だけではありません。大瀧メモや自身のマスターテープは、自身が守るという、その詳細に丁寧にものごとをながめ、かつ大事に残しておくというその才能は、この「映画カラオケ」についても、何かの評論に関しても開花されているものなのであると感じるわけなんで、どんどんそちらの方面でも才能を発揮していただきたい。眼のある編集者諸氏は、そちら方面のお仕事を振られることをお薦めする(ってエラソウですが(笑)。
で、その「映画カラオケ」と、どこかしら通呈するものがある気がするんだけど、その昔、あれは「秘密」っていう映画だったかで、当時よく行ってたしなそばや、四谷しんみち通り奥の「こうや」が出てきた時や、昼休みに毎日ふらふらしていた神楽坂が舞台だったドラマの時なんかも、なんだか自分もその映画やドラマの登場人物になれたような気がして嬉しい気分になった。アドマチックなんとかで地元が出たりするとついつい見ちゃうのもそんなところか(笑)。やかましいのが、「あ、そこ、そこの角を曲がるといい感じの坂があんのになぁ」だとか「なんであの店が出てこないの?」なんて、いらぬおせっかいを焼いてしまうところ(笑)
 それと吉田健一さんのエッセイなんかで、そこまで辿り着く間の街並み、プロセスまでも含んでいる洋食屋や呑み屋で、あの肴を食べたい、あの酒を飲みたいなんて感じること、もう街並みも変わり、店もないけど、その辺まで出かけて行きたいなぁ、なんて読むたびに感じるんだよなぁ。
 アタシも、同じように映画もそうだけど小説やエッセイカラオケで(大瀧さんほど詳細でなくていいんだけど)、登場人物になって「そうかぁ、あん時はこんな気分だったんだなぁ。歩いてみなけりゃ、わかんねぇなぁ」なんてより一層深く、その作品を楽しむことをやって見たい。それこそ日々街を歩く徘徊老人となって。でも、余裕がないと駄目だな、こりゃ。(笑)