SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

放浪癖

聞いてもいないアルバムの話を書くと「おい、おい」といわれてしまうのは目に見えているんですけれど、、、。
この「ほうろう2010」の話を聞いた時、忠さんは、「ほうろう」でノックアウトされて以来、私の歌うたいのお手本だったもんで、なんだかちょっと困ったな、と感じたんですね。このアルバムは、バックを務めているティンパンや美奈子さん、達郎さん、ター坊のコーラス隊の素晴らしさが大きな魅力の一つだと思うんですが、忠さんのワイルドさと誠実さの危うい均衡といいますか、その辺りをなんとか保ったうたごえがそこにあるからこそなのでありまして。と、とりたてていうことでもありませんが。
実をいうと先日も書いたユーミンのTV番組で「ひこうき雲」のマスターテープの音を聞いた時、楽器の一音一音のクリアさとユーミンのうたごえの初々しさ、活き活きさがこちらに伝わってきたもんで、忠さんの気持ちが多少なりともわかる気がするんでするんです。でもそれは、その時代のその時の“うた”に“楽器”に込められた様々な思いが、充満してできあがったもので、そこにあらたに現在のまるで時間の違う、共有してるものが違う(と言いきってしまう(笑)状況の忠さんのうたごえを入れるっていうのは、ちょっと、ちょっとちょっと、というような気がしまして。
現在に近いうたごえというと「people」しか知らないのですが、あのうたごえから連想するのは、明らかに「ほうろう」にあった荒っぽさ、先にも書きましたワイルドさや誠実さ、その危うい均衡がなくなっているということに尽きると思ってまして。って、「何をどうすれば、何を伝えられるんだ? でもオレはうたいたいんだ!」とまだ短い人生の中で世の中の矛盾や不条理さにあがいてる20代半ばの若造と60代のそこを超えて、酸いも甘いも噛み分け「いつもそばにいるよ。助けてあげるよ」と神の領域に踏み込んでるおじさんほどの違いがあるわけですから。これらは、当然のことながらバックのメンバー、もしかしたら当時この録音に関わったすべての人、そしてそれを高校時代に共有した私を含めた聴衆にも言えるのではないかと思うんですよね。そういった違和感が、わだかまりがどうしても残ってしまうんですが、、、。と聴く前から微妙な男ごころが働いとりまして(笑)。 って、聴いたらまるでなんの違和感もなかったりするかもしれませんが、がっはっは(笑)