SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

たわむれに

 オヤジはめっきり身体が弱っちまって、目に見えて小さくなっいくのがよくわかります。ほんと、凋んでいく(ファネ)っていう感じですね。
なぜか石川啄木の“たわむれに 母を背負いてそのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず”の短歌が去来しまして、、、。
 あの三歩という数字はよくできてるといいますか、さすがだな、なんて思います。
ふざけてお袋を背負ってみたらば、あまりの軽さにびっくりして立ちすくむ感じがあの歩数によく表れているような気がします。
 背負ったのはいいが、その軽さにびっくりしつつも引き返せず、利き足を一歩前に出す、とおのずと次の足が出てしまうのですが、さすがにそれ以上は進めない、3歩目が出せないというなんとも切ない気持ちが良く表されているような気がします。気のせいですが(笑)
 なんでこんなことを考えて、こんなこと書いてんのか自分にもよくわかんないんですが、あの老人性の認知症というのも考えてみるとよく出来てる気がします。
 死というものが間近に迫ってくると、やはりいてもたってもいられない、平常心ではいられないじゃありませんか。今だって、そんなことを考えるといてもたっても、座っても、横になってもいられなくなるもんで、きっと目の前にそれが迫ってきたらば、その恐怖に押しつぶされちまう、押しつぶされてアタマがおかしくなっちまう気がするんですよね。それを緩和させるために、段々にわけがわからないようにしていってるような気がします。気のせいですが(笑)