SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

高田渡とスプリングスティーン

村上春樹さんの音楽エッセイでスプリングスティーンのところを読んでたら、なぜか高田渡さんを思い出した。ちょっと前に読んでた坂崎幸之助さんの対談集で、
「宝くじやヒット曲でお金がいっぱい入ってきたら、すっと歌ってきた歌を人前で歌えます? そこまで嘘つきになれないな」「もし入ってきたら、少し歌うの止します、ってギリギリの嘘つきだな」
って渡さんがしゃべってるとこがあって、笑いつつも、頷きながら、なんだか貧乏人のそれもちょっとインテリげんちゃんな人たちの思いなんかをきっと背負っちゃったりしてんのかなぁ、なんて思ったんだけども、、、。
村上さんのスプリングスティーンも「ボーン・イン・ザ・USA」でワーキング・クラスの思いを一身に背負っちゃって、こっちはあっという間に大ヒットで大金持ちになっちゃって、
「僕は自分が歌ってる曲の内容と、それを歌いかける相手、聴衆に対して、物凄く責任を感じるようになった。その前にほら、そんなに聴衆がいなかったからさ。ぼくはその責任感とともに生きていかなくてはならなかった。それが唐突にやってきたわけだよ」
なんてことを言ってて、渡さんの2千(この数が、渡さんの場合は功を奏したんだと思うんだけど。ほんとはどれくらいかわからない(笑)に対して、2千万のスプちゃんは大変だったろうなぁ。まぁ、辛吟のすえ、今までと変わりなく目で見たこと、感じたことをそのままうたにしようって、、、大金持ちになっちゃって、やっぱ今までとはだいぶ違うとは思うんだけど、流石にスプリングスティーン、節度をわきまえた振る舞いで社会派の硬派で今も頑張ってる(ってぼくには見える)わけですが。
そういえば代々木の東京体育館スプリングスティーンを見に行ったのは、そんな「ボーン・イン・ザ・USA」が出た頃だったような? 2階の向かって左の奥の方だった。終始横顔しか見えなかった、(こないだのジェフ&エイモスは右側奥で、エイモスしか見えなかったけど。たまにジェフがちらちらと、あと文ちゃんも見えた)。でも、スプリングスティーンが舞台からハケたところに水を汲んだ洗面器?があって、舞台に上がるたびに顔を洗ってる、というか洗面器に顔をつっ込んでたのはよく見えた(笑)。一度、その顔につッ込んだところに「ブルース!」と声をかけたら、びしょびしょの顔のままこちらに笑顔で手を振ってくれたのを良く覚えてる。いい奴だった(笑)。
って、やっぱりまた着地点がわかんなくなっちゃったんだけど、「銭がなけりゃ」や「生活の柄」がミリオンセラーになって渡さんが大金持ちになってたらどうしてたんだうか?ってまるっきり考えられないけど(笑)。
で実は、このあとに村上さんは、ウディ・ガスリーを取り上げてて、その中でスプちゃんがウディ・ガスリーに捧げたアルバムの話を書いてたりしてんのを読んでほっとしたわけです。ね、そうでしょ? はい、渡さんもウディ・ガスリーに憧れて、あのうたをなんとか日本語で歌いたいって思って、歌い始めたわけですから。
お二方とも、やっぱり奥の奥の方でつながってんだなぁ、って思ったわけです。って、スプちゃん、最初は、ディランって言われてたんですもんね(って、ウディさんもディランもスプリングスティーンも渡さんもそんなによく知らないんですが)。
久々にアズベリーパークを引っぱり出して聴いてみたけどいいっすね! なんともうたごえが、音が弾けてハツラツとしてて! それに音数が少なくってシンプルで。クレッグ・キーン(結構好きなんす。一枚目と二枚目)が取り上げてたFor Youって、スプリングスティーンだったんだそういえば。はい、ご退屈様でした。