SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

身体中の力が出きってしまうのだ

友人の披露パーティへ出かける。ほんとにうれしそうな顔にほっとする。
で、ついでに、雨の神保町古書街を歩く。やっぱいいやね、古書街は(笑)。って、神保町のいいところは、古書街と三省堂や書泉、東京堂岩波ブックセンター、などの大型書店や特色のある新刊本屋さんも一緒に並んでいるってぇところだな。あ、特価書籍も忘れちゃいけねぇや。そういやぁ、その特価書籍でクレイジー・キャッツのオフィシャルブック、当時欲しいなぁ、と思ってたやつが、半額以下で出てたんだけど、これからパーティに行くってぇのに、分厚くて重いんで、泣く泣く断念。
天気が良けりゃ、均一本のワゴンなんかも出てて覗けたんだけど、雨でほんとに残念だった。でも、小宮山のガレージセールは相変わらずやってたし、収穫はなかったけれど、なんだかあのころの気分を味わえてうれしかったなぁ。あ、そうそう、三茶書房でなんとオレの手掛けた本が出ていて、恐る恐る裏表紙をめくってみると、定価より高い値が付けられていた。なんだかちょっとうれしい。
エルヴィス・プレスリーの唄はは手足がこきざみにゆれ、身体中の力が出きってしまうのだ」っていう表現が面白い深沢七郎の「東京のプリンスたち」を読む。ほかにもマンボやクラッシックのシンフォニーの感じ方が書かれていて面白い。ちなみに「ミュージックに深刻な思想など盛り込まれていたら楽しくない筈だ」がシンフォニーのそれ。プレスリー好きが如実に表れてる作品で、その出てくる曲の多さに驚いた。そのための小説であるといっても華厳の滝ではありません(お、久々のフレーズ(笑)。それにどう読んでも東京のプリンスの話ではなく、どこか地方の素行の悪い連中の話なんじゃないかな、と思うわけで。きっと、「東京じゃ、今そんな奴らが多いんだよ」なんて話を誰かから聞いて、この話を作ったんじゃないだろうかと思うわけで。思うのは勝ってなんで、違っててもしらない。
そんでもって、太宰と井伏の合作小説というのも読んだ。ほとんどが太宰の初期の習作といっていい内容のもので、後半のほんの少しの部分を井伏が書き継いだという話なのだが、合作するようなものなのかな?という内容のもので、どうも私にはピンとこなかった。
若さゆえの熱に浮かされたような自意識過剰の主人公の心理が、虚しくも空回りばかりして「あーあ」という気持ちにさせられたくらいで、ほかになにも残らなかった。ぼんくら頭ゆえ、そこに書かれてある何か大事なものを読み逃しているのかもしれない。悔しい気もするが、こればかりは仕方がない(笑)
なもんで、きっとすべてにおいて、そこに書かれているものの何か大事なものをどこかに置き忘れているような気が、ずーっとしている人生だ。さよならだけが人生だ。おしまい。