SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

びんぼうひまなし びびんぼびんぼ

なんとか2か月限定の慣れない仕事にありつき忙殺される日々を送っております。みなさんおげんこですか?
2か月限定なので、仕事にやっと慣れたころには終了と相成って、また元のもくあみなのがわかっちゃいるけどやめられない、すいすいすーだらだったとは安易にはいかずひっじょーにきびしい現実を思い知らされている日々でもありますが、やることがあって没頭できるってぇのはやっぱり嬉しいことでもありますね。これが長期で続いてくれりゃもっといいわけですが。
でもって、仕事場が渋谷に近いこともありまして久しぶりに渋谷の古書会館をのぞいてみました。
小じゃれた2階のフライングブックスで横田順彌の探書記を購入。以前「本の雑誌」で連載されていたものを一冊にまとめたもので、連載中には確か読んでたはずでありますが、まとまってあのおバカな話を読みたいと思い手に取った次第。
やはりおバカな話で久しぶりに帰りの電車の中で笑ってしまいました。それにしても横田さんほどではないにしても、この気持ちなんだかわかるんですね、私もおバカなもんで(笑)
私の場合、本を読んでて気になることが出てくると、「あとで調べよう」なんて気持ちにはなるんですが、あっという間に忘れてしまい「あれ?なんか忘れてる」なんていう気持ちだけが残ってそのままになってしまうわけなんですね。
以前ここに書いたこともある荷風の戦中の描写や足穂と安吾の関係なんかは、そんな感じで心にひっかかってたものをちょうどうまい具合に思い出し、いくらか調べてみたものだったんですが、横田さんの場合は、もうわけがわかんないくらい深く深く調べていくわけですね。ご自身でも書かれてる通りの地獄、その労力、金力ともにとても及びません。早慶戦新国劇がなぜに結びつくのかなんて容易には説明できないでしょ、説明しませんが(笑)。
ちょうど押川春浪を研究中だった横田さんだったんで、「内容には何の興味もないが、押川の友人なので」とか「押川の知り合いなので」とか、手当たり次第に押川関連書を購入する記述がなんともおかしくて笑っちゃうんですね。しかし、こういう人がいるからどちらかというと目につかない人間臭いその人の人となりが姿を現してくるわけで、ご苦労も多いわけだけど大切なんだと思うわけです、うん、絶対そうだ(笑)。エライ、凄いなんてとこは誰でも知ってるんだ。そうじゃないとこが面白いんだ、人は。
こういう人のためにも何もなんないものがなぜだかとても愛おしい、なぜだかとてもうらやましくてしかたないわけなんですね。できればそんなことをオレも少なからず目指したいなぁ、なんて思ったりしたんですが。
そういえば、以前本の雑誌で読んでた時も思ったんだけど、荷風断腸亭日乗では、押川春浪はだいぶ嫌われてた記憶があるんだけれど、なんで嫌ってたんだっけかな、忘れちゃったな、そのことを横田さんは知ってたんだろうか?知ってたんだろうなぁ。もう20年以上も前の本なんだけど。
ふと気づいたんだけれど、もしや、もしかしてこの本どっかにあった気が、その昔買ったような気が、、、。