SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

「季節のない街」

suzukimondo2008-12-13

に生まれぇ〜 風のない丘に育ちぃ〜 ♪ つぅ〜うたがありました(笑)
その昔、黒沢明の「どですかでん」の原作と聞いて、この山本周五郎の小説を読んだのでありました。それ以前は、山本周五郎司馬遼太郎というと、どうもなんだかきちんとしすぎている、世の中をきちんとした目で見ている、という感じが強くて、うまく言えないんですが読む気が起こらなかったわけで、とはいうものの毛色の変わった山周唯一の探偵小説と冒険小説集「寝ぼけ署長」これだけは目を通していました。(未だに司馬さんは読んだことないんですが、氏の作品の中にも妖術使いが出てくるちょっと不思議な話しがあるらしいんで読んでみようとは思ってるんですが(笑)
で、「季節のない街」ですが、当時はやはりあの映画のサイケな色彩感覚同様になんだかよくわからなくて途中で放り出しちまいました。あれは、黒沢監督初のカラー作品だそうで人間だけが生身でバックが絵画的になってまして夢の世界、幻の世界を描いているという印象を強く受け、それがなんだかうまく合ってない気がしましてぴんとこなかったんです。
先日「デルス・ウザーラ」(これも結構好きなんです。「カピタァ〜ン」のあのデルスの声が頭に残っちゃって。あれは黒澤さん、絶対声の質なんかも頭に入れながらキャスティングしたんではないかと思うわけで。なんとも優しくかわいらしく素朴なデルスとカピタンの太く堂々とした声が印象的です)の前ですが、「どですかでん」をTVでやってまして、見直したら、見直しました(笑) 相変わらず明確にどうのこうのと言えるほどわかっちゃいないわけですが、ま、どうのこうの言えて、人を納得させるようなもの言いができるほど嘘つきじゃござんせんが、ちがうかぁ(笑)(ヒガミデス)以前よりは、歳を食ったせいでしょうか、なんとなく分かる気がしたんですよね、これが。
で、また読み出したわけです「季節のない街」。面白いですね。極端な話しではあるけれど、人間の弱さもこわさもいやさもなにもかも、思わず笑っちゃうようなそんな人間の姿がとても活き活きと描かれていて(って、これも嘘ですからまじめにとっちゃいけません)。
なにを云いたかったのかっていうのがいつもあやふやになってしまうのがわたしの短所であり長所であって、そんなことはどうでもいいようなもんですが。ブログ自体が自身の欲求不満を何かで満たすような、ひとりよがりのものなんですから。というわけで(という接続詞がまちがってるかもしれませんが)面白いなぁと思い直したわけです。この映画も、小説も、なんだか人間も。