SALT,SUN & TIME

ローザンヌ備忘録

加川良さんで思い出すのが、

実は昨年亡くなった沢田としきくんのことだったりする。あれはいったいいつ頃のことだったんだろうか?毎度おなじみ下北ラ・カーニャで加川さんと二人してライブをやるって聞いて、のこのこと出かけた。そういえば、その昔、沢田くんは、サックスをやっていたんだった。でもいまひとつだったんだろうか、それをやめてジャンベを叩くようになっていた。何のライブだったか、野音のライブで入場口あたりで、砂川さん(ソーバットの、この方もそういえば、亡くなっちゃった)と二人でウェルカム・ジャンベを気持ちよさそうに叩いていた。なもんで、ジャンベで加川さんと、、、なんてことはなくて、加川さんのうたってる横で、大きなキャンバスにエモーショナルに絵を描いていくっていう、師匠筋の黒田征太郎さん仕込みのライブペインティングを繰り広げたわけだ。
ゴールデン・サンが輝く、トロピカルな浜辺の大木の幹から出た枝が、蛇に変わったり、青空に漂う雲が、大空翔る鳥に変わっていったりと、最初にできた絵がいくつにも変わっていく。そしてその色彩もどんどん変化をしていくのを目の当たりにして、僕は息をのんだ。いわば、いくつもの絵が重なり合って一枚の絵ができあがっていくので、その前の絵、その前の前の絵を見ることのできる目撃者となってるわけだ、贅沢なことに。それも加川さんのうたも聞きながら。
ライブ後楽屋を訪ね、一緒に見ていた友人が、知り合いから頼まれたといって、沢田くんの絵本にサインをねだると、「Ok」と言って、とても丁寧に、踊ってる人のイラストとともに描いてくれるのだった。そんな姿が今も目に浮かぶ。
そういえば、こないだいつものように本屋をぶらいついてると、沢田くんの絵が表紙の本に出くわした。ピーター・バラカンさんの本で、プレイ・ボーイ誌に連載していたのを一冊にしたものらしい。あの情のこもった温かみのあるミュージシャンたちの絵は、とっても愛らしく、かわいい。なんとももったいないのが、本文に入っているその数々の絵がカラーじゃないってところで、バラカンさん、英語の日本語表記にばかりこだわらずに、その辺にもこだわってほしかったなぁ(笑)。そんなことより、どっかで、きちんとした沢田くんの作品集を出してもらえないもんだろうか?ずいぶん昔に、本人に「sawada comixを集めて一冊の本にしたいね」なんて話をしたら「うん、面白いね」なんて言ってたんだけどな、、、。
あ、思い出した。そういえば、沢田くん、もうずいぶん昔になるけどラ・カーニャでTシャツ展を開いたじゃない?あの、沢田くんの絵がプリントされたTシャツ、いろんなライブのやつだったり、なんかのイベントのやつだったりしたやつをもう一度プリントしなおして、販売するっていうんで予約を取ったじゃない?あの予約に友人のも含めて5枚お願いしておいたんだけど、まだ届いてないんだよ。あれって、いつ頃届くんだい?できれば、来年のまたきっと蒸し暑い夏に着て、ライブや古本屋や飲みに出かけたいと思ってるんだけど? 届けてくれるかい?ねぇ、沢田くん。